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清津川ダム建設の経緯
ダム建設中止時の考え方
ダム建設中止後の要望書
清津川ダム対策協議会役員総括
ご意見


ダム建設中止後の補償法案」を提案するにあたって

国が清津川ダム建設を平成14年8月に地元に中止通告してから、地元湯沢町は「地元意見をとり纏めて地域振興策を纏める」として新潟県、国へ要望し3者検討委員会を設置して、第一回の意向調査(40数l回答)を平成14年11月に実施し、要望事項の対応にあたり現在に至りました。
生活再建及び地域振興策を、進めようとする行政の取り組みは一応評価をしますが、現行の法律や公共事業補償基準には、ダム事業の中止に伴っての補償及び地域振興策策定についての定めがないために、中止発表後2年経過したにもかかわらず実現したものは無く、地域振興策は検討段階で見通しが立ちません。いまだに地域住民は、ダム建設問題から逃れられずにいます。 それは、事業の期間が長期にわたるダム事業が、中止になった場合の補償や対策についての制度がないためではないでしょうか。そのため、私たち清津川ダム対策協議会は、その他の地域の取り組みを参考に、「ダム建設中止後による補償法案」を提案いたします。

本法案の要点

  • 国と受益都道府県及び地元市町村で地域振興協議会を設立する。
  • 地域振興協議会は、地元協議会を組み入れ4者で協議会を随時開催して、話し合いと検討を重ね、
      随時視察及び現地調査を行なって地域振興計画案を作成する。
  • 補償は、地域住民の物的補償と心労補償、生活再建事業及び地域基盤整備事業の三つの構成とする。
  • 補償については、速やかに地元に提示して住民の同意が、得られるまで案の修正を行なった上で、
      補償計画を策定する。
  • 事業起業者は、ダム事業が如何なる方向に向かっても一旦、地元説明に至った時には物的補償及び心労補償が
      起案時より発生するもので、何らかの方法で地元住民の同意を得て補償しなければならない。
  • 生活再建事業として、生活再建支援措置、住宅及び営業用建物の新改築に対する助成金の支出と利子補給、
      地域社会構築支援措置を行なう。
  • 生活再建事業を実施する為、ダム起業者(国)及び受益都道府県と利水・治水等の受益予定者(下流市町村)は、
      地域振興支援基金を設立して必要な事業費を負担する。
  • 地域基盤整備事業は、国及び受益都道府県及び地元市町村の事業として行なう。
  • 補償財源は、起業者が負担するものとする。
  • 補償は、第三者機関制度を導入する。
  • 地域振興計画策定には民間を入れる。

    ダム建設計画中止に伴う補償法案
    (目的)
    第1条 大型ダム事業を計画する国及び地方公共団体等(以下「ダム起業者」という。)が水没予定地域の住民及び住民が組織する団体(以下「水没関係者」という。)に対して与える影響をできるだけ緩和するための補償及び生活支援を行うことを目的とする。
    2 起業者は、事業を進める上で水没関係者に対して、ダム事業の理解と協力を得るために、その住民に対して生活の安定を守る義務がある。そのために次の補償をおこなう。
     (1) 水没関係者が事業に対する、問題解決のために活動する次の費用の負担または援助をすること。
      ア 住民組織活動費の全額
      イ 水没予定地に属する市町村の窓口等に関わる費用の全額
     (2) 事業が中止になった場合の補償基準を示すこと
     (3) 起業者は、円滑に事業を進行させるため水没予定地内に事務所を設置して、その対応にあたること。ただし、設置にあたっては、水没予定地住民の過半数以上の同意を必要とする。
    (4) 前号の事務所は事業中止後も、水没予定地内関係者の同意があるまでは、撤去ができない。また、水没予定地の市町村の現地事務所(現地窓口含む)も同等である。
    (対象)
    第2条 この法律は、事業選択後(実施計画調査)5年以上年数が経過し、事業中止の決定がなされ、また予備調査開始後地元住民に、ダム計画説明が行われてより15年以上経過して事業中止の決定が、行われたダム計画移転予定地及び、その地を含む市町村を対象とする。

    ◆解説
    建設段階に入ったかどうか、また、ダムの基本計画が決定されたかどうかを問わず、事業として採択された時点(実施計画調査開始)から5年以上の年数が経過しているか否か、及び予備調査が開始され地元住民にダム計画説明がなされてから15年以上が経過しているか否かで対象地域を選択する。
     1)構想段階  :既存資料による検討
     2)予備調査  :ダム建設の適否調査
     3)実施計画調査:ダムを建設する為の調査
     4)建設段階  :予算上建設段階に移行時(準備工事開始、用地買収開始)
     5)基本計画策定:直轄ダム、水資源開発ダムは事業実施計画、補助ダムは全体計画
     6)建設工事着手:付け替え工事及び本体建設着手
    上記を踏まえての代表的なダム問題の例題地

    構想段階予備調査 実施計画調査建設段階 基本計画策定建設工事着手
    八ッ場ダム
    1964年1967年 1970年 1985年
    南摩ダム
    1964年1969年 1984年1994年
    清津川ダム
    1966年1984年


    猪牟田ダム

    1973年


    川辺川ダム

    1967年 1969年1976年
    矢田ダム

    1972年


    中部ダム
    1988年1995年



    (地域振興協議会の設立)
    第3条 事業起業者は、事業中止の決定がなされたダム建設計画の移転予定地域において、その地域の住民から地域振興の要望がある場合は、当該地域及びその地域を含む市町村の振興事業を計画し、推進する為の地域振興協議会(以下「協議会」という。)を法律に則って設立する。協議会は、起業者及び各関係行政機関で地域振興計画を策定し、第6条第2項の地域住民の実質的補償及び心労補償の調査・調整・検討を行い実施する。同条第3項の生活再建事業の実施及び、同条第4項の地域振興事業の振興を管理する。ただし、協議会は、その進行にあたっては、地域住民と協議及び検討を行い実施するものとする。
    2 地域振興協議会は、次のもので構成する。
    (1)事業起業者
    (2)対象地域を含む都道府県知事
    (3)対象地域を含む市町村長
    (4)対象地域を含む都道府県関係行政職員
    (5)対象地域を含む市町村関係行政職員
    3 協議会の事務局は、事業起業者とする。

    ◆解説
    鳥取県の旧中部ダム予定地地域振興協議会のように、地方自治法第252条の2の規定に基づく協議会を設立し鳥取県がその事務局を務める。しかし事業起業者が国や企業の場合は、地方自治法第252条の2の規定に則り新法を策定してそれに基づく協議会を設立し事業起業者がその事務局を務める。協議会は関係都道府県と関係市町村による共同の執務組織である。同協議会は振興計画を策定するとともに、第6条第1項の地域住民の実質的補償及び心労補償の調査・調整・検討を行い実施する機関である。同条第2項の生活再建事業の実施及び、同条第3項の地域振興事業の振興を管理する。 尚、旧中部ダム予定地地域振興協議会の構成は次のとおりである。
      鳥取県知事、三朝町長、三朝助役、鳥取県土木部長、鳥取県土木部旧中部ダム予定地域振興課長

    (地域振興計画の策定)
    第4条 協議会は、次の各号により地域振興計画を策定する。
     (1) 水没予定地域の住民の意向調査
     (2) 水没予定地域の住民との意見交換会及び地域振興計画案の説明会
     (3) 水没予定地域の住民とともに地域づくりの参考事例の現地調査
     (4) 水没予定地域の住民の代表協議会と協議、検討会
     (5) 水没予定地域の住民からの回答
     (6) 回答に基づき計画の再度の検討・策定して移転予定地域の住民に説明し、移転予定地域住民の同意が得られるまで第4号から第6号までを繰り返す。

    ◆解説
    生活再建の内容も含めて地域振興計画の内容はそれぞれの地元の状況に応じて決めるべき事であるので、移転予定地域を含む市町村が参加する地域振興協議会が同地域の住民の意見を踏まえて地域振興計画案をつくり、その案を住民に提示し、その同意を得た上で計画を策定する。 移転予定地域の住民の意向を尊重する為、同地域の住民の同意が得られるまで計画案の策定を繰り返す。

    (地域振興計画実現の責務)
    第5条 ダム建設計画の起業者、移転予定地域を含む都道府県知事及び市町村長は地域振興計画を実現する責務を負う。

    ◆解説
    地域振興計画が絵に描いた餅にならないように、ダム建設計画の起業者、移転予定地域を含む都道府県知事及び市町村長は同計画を着実に実現する責務を負うものとする。

    (地域振興計画の内容)
    第6条 地域振興計画は、地域住民の実質的補償及び心労補償の調査・調整・検討・実施、生活再建事業及び地域基盤整備事業で構成する。
    2 地域住民の実質的補償及び心労補償の調査・調整・検討の実施は、次により行う。
     (1) 調査は、戸別調査を基本とする。
     (2) 調査は、協議会が実施する。

    ◆解説
    ダム事業において予定地域住民は必ず賛成、反対を問わず任意団体を立上げて諸問題に 対応する為に各関係団体や関係行政等との折衝を行わなければならないものである。そのためにその団体に属して活動する事による時間的な制限や個人的資産の喪失、平穏な生活が妨げられる。ダムを造るという立場の起業者からの「ダムを造る為に赴任してきております。」という言葉により地域住民は、国は絶対にダムを造るのだからという気持になり、将来展望が見えず、人の心も大地も荒れ果ててしまった。

    3 生活再建事業は、次の各号をいう。
     (1) 生活再建支援措置
      ア 損失の補償
      イ 新たに営業を開始したり、職業転換を行うなど、生活を再建するのに必要な費用の助成と利子補給。
      ウ 生活再建を進めていく上で必要な相談及び助言等の支援
     (2) 住宅及び営業用建物の新改築に対する助成金の支出と利子補給
     (3) 地域社会構築支援措置
      ア 地域社会への交付金の支出
      イ 地域の街づくり支援(地場産業育成のための助言と資金援助等)
    4 地域基盤整備事業は、次のものをいう。
     (1) 移転予定地及び同地域を、含む市町村の地域振興を進める為に必要な施設と制度を整備する事業

    ◆解説
    生活再建事業は、移転予定地域等の住民の生活再建を行うものであり、地域基盤整備事 業は同地域及び同地域を含む、市町村の地域振興を進める為に必要な施設と制度を整備 するものである生活再建事業のうち、生活再建支援措置の損失補償金は、ダム建設の為 に受けた精神的および経済的な損失を補償するものである。ダム建設の場合は似たよう な意味を持つ感謝金が支払われたケースがある。(例:宮ケ瀬ダムは一戸あたり30〜1000 万円)地域社会構築支援措置のうち、地域社会への交付金は地域社会を改めて構築出来 るよう地域社会に対して交付するものである。地域基盤整備事業はダム建設計画のために立ち遅れた社会基盤を中心として、例えば、次のような施設を整備するものである。
      1)ほ場、農業用堰、農道等の農業関係施設
      2)農産物加工施設、共同作業場等
      3)水道、下水道等
      4)公民館
      5)道路
    その他に、例えば、森林の水源涵養機能および治水機能が高められるように森林の管理 を行う制度をつくって雇用を促進するような制度の整備も地域基盤整備事業の一環とし て行う。

    (地域振興支援基金の設立)
    第7条 ダム建設計画の起業者及び利水・治水・発電の受益予定者は、移転予定地域等の生活再建を支援するため、地域振興支援基金(以下「基金」という。)を設立する。
    2 基金は、次の事業に使うものとする。
     (1) 補償事業費
     (2) 生活再建事業費
     (3) 地域基盤整備事業費
    3 基金の負担割合は、ダム建設事業費の費用配分比率と同率とし、起業者と利水・治水・発電の受益予定者が前項の事業費を負担するものとする。 ただし、ダム基本計画(事業実施計画、全体計画)が策定されず、費用配分比率が決まらない場合は、起業者および利水・治水・発電の受益予定者が協議の上、負担割合を決めるものとする。 なお、農業用水に関しては、土地改良事業を実施する事業主体、すなわち国営の場合は国、都道府県営の場合は都道府県、水資源開発公団が施行する事業の場合は当該都道府県が受益予定者を代行する。

    ◆解説
    ダム建設中止となると、受益予定者は当該ダムの関連費用を負担する事が困難になる ので、法律によって新たに地域振興支援に関する費用の支出を義務づける事が必要であ る。本条は、その為に基金を設立して受益予定者に費用の負担を求める為の規定である。 本来の生活再建に係わる第6条の生活再建事業についてはダムが必要だと言い続けた受益予定者にもその責任を求めるものである。ダム建設に関しては、ダム補償や水源地域対策特別措置法で対応が困難部分を補完する ため水源地域対策基金が設立されている。ダム建設計画中止後においても同様な性格を 持つ地域振興支援基金を設立する事が必要である。

    (地域基盤整備事業の特例)
    第8条 起業者及び移転予定地域を含む都道府県または市町村は、第6条第4項に規定する地域基盤整備事業を実施する。その実施について次の特例を設ける。
    (1) 当該事業に対する国の負担または補助の割合は、他の法令の規定にかかわらず、政令で定める割合とする。
    (2) 起業者、都道府県または市町村が当該事業を実施するのに必要な経費は、それぞれが責任をもって負担する。

    ◆解説 地域基盤整備事業はダムが中止になっても、個別の法律による事業として起業者、都 道府県または市町村が実施する事が可能である。ただし、財政面での優遇措置が必要で あるので、国庫負担・補助の特例と地方債の特例についての規定を設けるものとする。 尚、過疎地域自立促進特別措置法では第11条に国の補助の特例、第12条に地方債の 特例、水源地域対策特別措置法では第9条に国の負担、補助の特例が定められている。

    (措置)
    第9条 事業中止の決定がなされたダム建設計画で、移転予定地域の住民とすでに移転補償の契約の調印が終了している場合、または移転補償金の支払がすでに終了している場合において、移転予定地域の住民が移転前の生活を望む場合はその意向を優先する。

    ◆解説 すでに移転補償契約または補償金支出が終了している場合は、ダム建設計画が中止に なってもこれらの契約または支出は民法上有効であるので、契約が解消されたり、補償 金の返還が求められたりすることはない。むしろ、これらの契約または支出が終了した住民であっても、ダム建設計画が中止になれば、今までどおりの生活を望むことが考えられる。そのような住民の意思を優先し、 契約の解消または補償金の返還もできるものとする。   すでに移転した住民がダム建設計画の中止に伴って、移転前の生活に復帰することを望 む場合は、移転予定地域の地域振興を図るため、地域振興計画の中でその意見を最大限 に尊重する措置をとるものとする。

    清津川ダム建設中止前の清津川ダム対策協議会による図化作業
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